海藤雄馬さんから頂きました
ありがとうなのです

雄馬さんのページ『赤の世界』のショートです♪
ではでは♪


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  <ガウリイの弟>




僕の名はエクト…、エクト=ガブリエフ。
赤の竜神スィーフィード様の分身の一つである空竜王バールウィンの側近。
強さは魔王の腹心くらい…だね。

僕は神族の中でも特殊で、空竜の中で転生を繰り返す…前世の記憶を持ちながら…。
でも、今回ガブリエフ家の三男として転生したのは休暇のためだったんだけど…。
そのために、エクト=ガブリエフの寿命が終わるまで、
バールウィンの側近としての記憶はよみがえらないはずだったんだけど、
とある事情で目覚めなければならなかったんだよね……。

全く…。


その事件は、かの金色の王とそのご友人のご降臨事件。
まさか、あの方がこの世界に降りてくるなんてね…。


その原因を作ったのは僕の父と乱心した空竜の部下。
最も、父さんはその乱心した部下に殺されたんだけど…。
で、父さんが死んだんで、一応ガウリイ兄さんを『説得』して家に帰ってきてもらった♪
もちろん、噂のリナ=インバースさんも一緒にね♪


僕の腹違いの兄、
ガウリイ=ガブリエフはガブリエフ家の家宝、
ゴルンノヴァ(人間の間では光の剣と呼ぶけど)を継承した(半ば強引ではあったけど…)
ガウリイ兄さんは僕がまだ物心ついて間もない頃に家を出て行った。
あの状況は10歳の子供には厳しすぎるから…、
誰も狂っていく自分の父を直視できないだろう…。
僕は昔から、曾祖母であるメリルーンおばあさんに育てられて、自分達の家族には関わらなかったいいけど…。
自分の家族でよく覚えているのは、空竜であった母のみ。
母さんは、今もまだ図太くどこかでいきているだろうけど。



それはともかく、僕は今、ここに降臨された金色の王とそのご友人の見送りに来ていた。



ガブリエフ邸の裏の森。
多少の空間の歪みが残っているものの、
金色の王が降臨された時より安定していると思う。
見送りにいるのは、僕とガウリイ兄さんだけだった。

『あなた、今のままであのリナを守りきる自信はある?』
金色の王がガウリイ兄さんに問う。
リナさんは今、魔力を使い果たして深い眠りについている。
「どういうことだ?」
ガウリイ兄さんは金色の王を睨む。
いい度胸してるよ、ガウリイ兄さん…全ての存在の母をにらみつけるなんて…。
『あの子の魔力みたでしょう?はっきり言って、神族魔族が放って置かないわよ。
  高位の神族魔族相手に、あなたはリナの足手まといにはならないの?』
確かにリナさんは今までの戦いで魔力が普通では考えられないほど上がってる。
斬妖剣という魔力剣を持っていても、ガウリイ兄さんは剣士だ。
魔法が使える訳でもない。
「足でまといになる気はない。」
きっぱりと、ガウリイ兄さんは答えた。
『そう、なら、もっと腕を磨きなさい。
  人の中での一流の剣の腕と魔法剣程度じゃこの先どうなるか分からないわよ。』
なかなか厳しいことを言うよね。
僕は二人の話を黙って聞いている。
「分かってる。」
『そうね、せめて、スィーフィード…ルナくらいの強さになりなさい。
  でないと、リナを守る前にあたしの所に来ることになるわよ』
つまり、今のままの腕では早々に混沌に沈むことになるということ。
ふっと柔らかな笑みを浮かべる金色の王。

『エル~、行かないの?』
少し後ろの方で金色の王の御友人である…確か、ユニット様といったかな…?
そのお方が手を振っている。
「もう、行かれるのですか?金色の王…金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)様。」
『そうね…。今はあまり長く留まる事はできないから…。』
苦笑をする金色の王。
その表情は親しみを感じさせるようなものだった。
『空竜王の側近(ニア・エア・ロード)エクト。あたしの事はエルでいいわよ♪
  金色の王だなんて堅苦しい呼び名はやめてね♪』
「分かりました……エル様…。」
僕はくすっと笑った。


『それじゃあね♪』


来た時と同様、エル様は唐突に消えた。
少し残っていた歪みがもとに戻ってる。
エル様が直してくれたのだろうか……。



「ところで、ガウリイ兄さん。これからどうするの?」
エル様にもっと腕を磨けといわれたガウリイ兄さん。
これから何もしないわけにはいかないだろう。
「一応は考えてある…。」
「ええええええええええ?!!ガウリイ兄さんが考えてあるだって?!!!」
「あのなぁ~。エクト……。」
「冗談だって♪」
ガウリイ兄さんは聞くところによると、リナさんが絡むと脳が活性化するって話だからね。

「まぁ、それはともかく…。」
気を取り直して…
「ガウリイ兄さん、魔法を覚えてみない?」
「魔法…か?」
「覚えていて損はないと思うよ♪」
僕はにっこりとガウリイ兄さんに微笑んだ。
僕のことをある程度分かってるがウリイ兄さんのことだから、
僕の笑みの意味なんて分かるだろうけど…。
「オレは難しいこととかはよく分からんぞ。」
「そんなこと承知してるよ♪」
「あのなぁ…。」
呆れたような声を出すガウリイ兄さん。


「大切な人は亡くしたくないでしょう…?」


妙にその言葉が響いた。
僕はニコニコしたまま言ったけど、ガウリイ兄さんは僕の言葉に何かを感じとったみたい。
「エクト…?」
これだから、感のいい人間は…。
別に、もう昔のことだし…。
「僕がガウリイ兄さんに教えられるのは神聖魔法の一つ。空竜王の側近であるこの僕の力をかりた呪文だよ。
  僕の存在自体結構知られてないから使えるのは僕の部下数名だけだけどね…。」
「エクトの力をかりた魔法…?」
「そ♪ガウリイ兄さんは、僕の存在はなんとなく分かってるでしょ?」
「ああ。」
「僕の存在が分かってるなら簡単だよ♪短い呪文だし♪」
自分の持ってる手は多いにこしたことはないからね♪
僕が「彼女」を失った時と同じ思いはしない方がいいし……ね。
「『ニア・エア・ロード』。これが呪文だよ♪どんな効力かはその時の使う者の心次第。」
「にあ・えあ・ろーど…?」
「そうそう♪短くて簡単でしょ♪」
僕の気まぐれによっては発動条件変わったりするけど♪
あんまり、長々と説明するとガウリイ兄さん混乱するからね。

「リナさんを大切ね。」
「分かってる。」
当たり前のことのように答えるガウリイ兄さん。
今まで、ガウリイ兄さんは何かに執着したことなんかなかった。
リナさんは、ガウリイ兄さんが心から欲しいと思った人。
「我慢できなくなっても、強姦はだめだよ♪ガウリイ兄さん♪」
「エクト~~~。」
じとりと僕の方を見る。
「それと、結婚するまでちゃんと避妊するんだよ♪」
「お前なぁ……。」
半ば、呆れたようなガウリイ兄さん。
大丈夫だと思うけど、
ガウリイ兄さんって独占欲強そうだからキレちゃった時何するかわからないもんねぇ~。
子供を盾に結婚せまるなんて、
普通男の方がすることじゃないんだけど…ガウリイ兄さんならやりかねない…と思う。
「それと…。」
「まだ何かあるのか?」


『ガウリイ=ガブリエフとリナ=インバースに風と竜神の祝福を……。』 


「エクト…。」
驚いたように僕の方を見る。
「僕が部下達にのお祝いとか、戦地に赴く時とかにやる一種のおまじないだよ♪
リナさんと幸せにね♪」
空竜王は、天(そら)と風をつかさどる竜王。
風は新しいものを運び、そこにあるものを優しく包み込む。
天はすべてを見守り、恵みを与える。






頑張れ、ガウリイ兄さん。
まずはどこまで耐えられるかだね♪

うん、楽しくなりそう♪


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管理人よりのひとこと:
ちなみに、エクト君♡
過ぎ去りし風にもでてますし(だからまて!)
前回の記憶の彼方にの、彼の友人です♪(まてぃ!!)
これの、話しを見たい人は、リンクからどうぞ♡