ふふふふふふふ♪
二万ヒット記念に頂きました!!!!
ありがとうございますぅぅう!!
海藤さん!!!!
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              運命の序曲



光が少し差し込む森の中。
荒い息を吐きながら一人の少年が立っていた。
手には光の刃のある剣、この世では伝説と言われている光の剣。
金髪の髪の毛を肩まで無造作に伸ばした蒼い瞳の少年。
少年の前には無残に斬られた亜魔族達が灰になっていくところのものがある。


さあっ


少し冷たい風が吹き、亜魔族達の欠片である灰が風に乗る。
そして少年の周りには森だけとなった。


ぱちぱちぱち


少年の後ろにはいつの間にか来たのか手をたたくもう一人の少年。
「さすがガウリイ兄さんですね♪」
光の剣を持つ少年――ガウリイによく面差しの似た瞳の色だけが違うもう少し幼げな少年。
「いつからいた?エクト。」
ガウリイに殺気に近い視線を向けられてもエクトはにっこりと微笑んだ。
どちらもまだ10になるかならないか位の幼い少年。
この光景は違和感を感じる。
「ガウリイ兄さんがレッサーデーモン5匹目に斬りかかった時ですv」
「そうか。」
別にエクトの答えには興味なさそうなガウリイ。
幼い少年には似つかわしくない冷めた瞳をしている。
「あんまり長い間その剣を持ち出していると父さんが怒るよ?」
「分かってる。」
「あ、もしかしてケベック叔父さんに遊ばれてたの?」
「…そうらしい。この森にある木の実を取ってこいって言われてこの剣を護身用にわたされた。」
「光の剣が護身用…ね。」
少し考えれば分かりそうなものを…。
光の剣を渡されてただ木の実をとりにいくだけとは思えまい。

ガウリイとエクトの家は幼い頃からまず周りを疑わねば生きていけないような家庭だった。
幼くてもそれくらい分かるはずだ…。

ただ、ガウリイは…考えることを放棄してしまっている。
まだ幼い少年だというのに…。
何かに興味を覚えることもなく、死なずに生きているとも言いがたいような生活。
ガウリイにとって考える事は無駄な労力を使うだけ、疲れるだけだった。

「ガウリイ兄さん、帰ろう。」
ふぅっと軽く息をつき、エクトはガウリイを促す。
「…いや、まだだ。」
「ガウリイ兄さん?」
ガウリイはスッと森のある一点をみて目を細める。
光の剣の刃は出たままだ。




『ふぁいやぁぼぉぉぉるぅぅぅぅぅぅ!!!!』


どがぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!



呪文らしい声が聞こえ爆発音が響く。
ガウリイとエクトは爆音の方に駆け出した。
体の差もあるだろうがガウリイの方が当然早い。


「あああああああああ!!ねぇちゃん、もぉしないからゆるしてぇぇぇぇぇぇ!!!」
ガウリイが駆けつけた場には泣きながらレッサーデーモンに『火炎球』を放っている少女がいた。
エクトと同じくらいの年頃。
5歳位だろうか…?

ヴン

ガウリイは剣を構え、たっと地を蹴り、レッサーデーモンに向かう。
少女の放つ『火炎球』を避けながら剣を振りぬく。



ザッ!!


無表情でレッサーデーモンを滅ぼすガウリイ。
ほっと息を吐き、光の剣をぱちんと鞘にしまった。
もう、亜魔族の気配は感じないからなのだろう。
ガウリイは少女の方に視線を移し声をかける。
「大丈夫か?」
何の感情もこもっていない声だった。
「え…?」
少女はなにがおこったのか分からないというようにその紅い瞳でガウリイを見上げる。
栗色の肩より少し長めの髪。
服装は普通の街の子供が着るようなもの。
「こういうばあいは、おれいをいうものかしら?」
少女の口から出たのは感謝の言葉ではなくよくわからない言葉だった。

「あたし、ねえちゃんにおしおきでこのへんにとばされたんだけど…。
  てっきしあの『でーもん』たおしたらねえちゃんがゆるしてくれるとおもってがんばっていたんだけど…。」
「………。」
「ねえちゃん、みてたよね、いまの…。
  どうしよう…、じぶんでたおさなかったからもっとひどいおしおきがあるかもしんない…。」
不安そうにする少女にとりあえずガウリイは
「………いや……、悪かったな。」
何で俺が謝るんだ?と思いつつも少女に頭を下げていたりした。
「いいの!おにいちゃんがわるいんじゃないの!
  おにいちゃんが『でーもん』たおしてくれたおかげで、
  ねえちゃんにこんどは『じゅんまぞく』とたたかえとかいわれてもしかたないんだからっ!!」
「……………。」
「ねえちゃんのおしおきからはのがれられないのよ…。」
ふっとどこか悟りきったような遠い目をする少女。
「いや、だから…悪かったな…。」
どうも自分が責められているような気がして再度謝るガウリイ。
ちょっと困惑気味である。
「わるいとおもうなら、そのこしにぶらさげてる剣ちょーだいvv」
にっこりと両手を差し出す少女。
「これは無理だ。今は俺のものじゃない。」
「いまはってことはそのうちおにいちゃんのものになるってことよね?」
「…多分な。」
「じゃあ、あとでちょうだいvv」
「これは家の家宝だからあげる事はできない。」
「ん~~~……。」
腕を組み考え込む少女。
ガウリイは冷めた眼差しで少女を見る。

「じゃあ、おにいちゃん!あたしとけっこんしようvv」

「…………。」
「あたしがおにいちゃんとけっこんすればその剣はあたしのものにもなるでしょvv
  あたしのかあちゃんは『とおちゃんのものはかあちゃんのもの』
  『かあちゃんのものはかあちゃんのもの』っていってたもの!!」
びしっとガウリイを指差す。
こんな剣が欲しいがために自分の人生の伴侶を決めてしまうのか…。
子供の戯言とはいえ、少女のその言葉にガウリイの視線は冷たくなる。
「それに!!あたしがおにいちゃんとけっこんしたらおにいちゃんにそんな目させないよ!!」
「目…?」
「じんせいつまんなそーなかんじの目!!」
「人生つまんなそう…か。」
「その剣がおにいちゃんの目をそんなふうにしてるんでしょ?」
光の剣。
確かにこの剣さえなければガウリイの家も普通の家庭だったのだろう。


「あたしがおにいちゃんをしあわせにしてあげる。だからあきらめたような目しないで。」


この少女は…。
ガウリイは驚きで目を開く。
この剣を捨ててしまいたいと思っていた自分の心が分かったというのか?
自分の心の空虚さを見抜いて「けっこん」などと口にしたのか?
少女の目に大人たちの持つ光の剣が欲しいという欲望は見られない。
ただ、この初対面のガウリイを真直ぐ見つめているだけ。

「ああ、待ってる。」

このときガウリイは初めて微笑んだ。
自然と笑みがこぼれたのだ。

「やくそくだよ。」

少女はガウリイに顔を近づけ、誓いの証としてキスをした。
幼い口付け。
ガウリイは驚き少し頬を紅く染める。


「じゃ~ねぇ~。」


少女は手をふってそのまま森の中に消えていった。
少女の去っていった方を見ながらガウリイは微笑んでいた。

「ガウリイ兄さん、婚約者でもできましたか?」
とうとつにあらわれたエクトに驚きもせずガウリイはくすりっと笑みをこぼす。
「まぁ、そんなとこだな。」
にっとエクトに笑う。



それはガウリイにとっての初恋。
名前も聞かなかった婚約者。
幼き日の温かい思い出。







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管理人よりの一言:
これのイラストは・・こちら♪(もしくは下)
ふふふふ♪
何とイラスト入りで頂きましたのです!!
きゃぁぁぁぁぁ!!
ちなみに。
題・・・勝手につけました(まて!)
ふふふ♪赤の世界シリーズの外伝ですね♡