遥かなる記憶の彼方に・・
ロキシス一味。
宇宙海賊ロキシス一派。
宇宙に名をはせる海賊。
なぜ海賊というかといえば。
宇宙という海のみで活動をしているので。
そう第三者が呼び始めたのが始め。
神出鬼没で悪逆非道。
警備をかいくぐり、悪事を働いてきていた彼ら。
それが、よもや、たった一つの戦艦によって、捕らえられるとは。
「銀河刑法、第467条により、ロニシスを含め、そのメンバー。全員逮捕。」
がちゃん。
光の手錠が掛けられる。
この手錠特殊な力がかけられており。
まず特殊能力などを持っている存在でも、その能力は仕えなくなる。
広い宇宙。
瞬間移動などを行える種族も多々といるので、そんな犯罪者たちに、対する対抗策の一つ。
連絡をうけ、待機していた警察の手により、一派は連行されてゆく。
「・・・・・一つだけ、聞いてもいいか?」
手錠を掛けられ、すでにもはや、逃げられるすべがないと悟り。
この一族の頭であるロニシスが連行している警察の一人に語りかける。
「何だ?」
その質問に少し顔をしかめる銀河連邦警察隊員。
「俺達をここまで追い詰めた奴等って。よっぽど腕に覚えのあるやつらなんだろ?誰なんだ?」
ワープ船走にも付いてきて、あまつさえ異空間での攻撃もかわし。
あろうことか、ランダムワーブの着地地点までをも指示し。
彼ら―警察などをその地に配備していた、自分達を追いかけていた、たった一隻の宇宙船。
その言葉に、哀れむような視線を向けて。
「・・・・・・本当に聞きたいのか?」
・・・・?
どうして、哀れむような視線で見つめるんだ?
そう思うロニシスだが。
「当たり前だろう。この俺様を捕まえたやつなんだぞ?きっと、絶対にさぞ、名前がある・・。」
そうでなければ、こう簡単に、自分達が捕まるはずなどない。
そう確信している彼だが。
「・・・・・・・・・・・・・・・まあいい。
・・お前たちを追撃して、連絡してきたのは。
『連邦機関総試験』を受けていた二人の存在だ。・・つまりは、ただの試験生だな。」
顔をみずに背中でかたる、警察隊員の台詞に。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
ちょっとまてぃぃぃ!俺達は素人のただの、試験生につかまったのか!?」
わめくロニシスの姿が。
連行される宇宙船の中で見られていた。
気持ちは・・・わからなくもない。
それはどうやら警察の隊員も同じらしく、そんなロニシスに哀れみの視線を向けていたりする……
彼らは、ミリーが【かの御方】にかかわりがあるかもしれない、ということを聞かされてないがゆえに……
「・・・・悪趣味・・。」
船内を見て回りつつも。
まず第一声がふともれる。
「・・・・・だね。」
そういい、隣にいる、ミリーも顔をしかめる。
装置や機械類は、全て盗品。
それだけならまだいい。
各部屋にある戸棚などの中には。
彼らが今までしとめた存在の目玉や足、臓器といった一部分が。
冷凍保存され、ガラスケースの中に保存され、きっちりと飾られていたりする。
しかも、冷凍保存してある女性などの死体もまたつんである。
中には男性の死体もあるが。
彼らは、死体なども売りさばく闇の一員でもあるがゆえに。
つまり、ここにつんである死体などは全て商品。
まだ息のある、生き物・・存在達は。
すでに警察や警備隊の手によって、保護されて、ここにはいない。
銀河に名前を響かせているロキシス一味。
その名前は、一般の普通の暮らしをしている人でも聞いたことがあるほど。
許可を貰い、邪魔にならないように船内を散策する。
まずこういう機会は滅多とないがゆえに。
ざわざわ・・。
しばらく散策していると。
船の奥にある小さな部屋でにわかにざわめきたつ声。
「・・・何だろ?」
首をかしげる淡い金色の髪をし、透き通るまでの青い瞳の少女。
「いってみよ。ミリー。」
対してその言葉に答えるのは、横にいる、同い年くらいの少女。
紅い髪に琥珀色の瞳。
「そ〜ね。ミメット。」
この船は、彼女達の活躍の後に、束縛されているのであるが。
とりあえず、事態が事態なので。
彼女達の試験は、一時中断という形となっている。
事情聴取なども行わないといけないがゆえに。
とりあえず、二人の少女は。
ざわめきたつその部屋に向かって足を進めてゆく。
「・・・・この箱、絶対に空きません・・。」
一人の隊員が、小さな箱をもって別の隊員に話しかけている。
「・・・・・透視は?」
別の隊員を目でみる小柄な隊員の一人。
「駄目です。透視もできません。」
何が入っているのか、一応調べないといけないのに。
絶対にどんな手段を用いても開かない小さな箱が一つ。
しかも、透視なども出来ないらしく、その中身は皆目不明。
彼らが用いるあらゆる手段を用いても、絶対にその小さな箱は開かない。
中身が分からないことには、収容できない。
何しろ、どんな危険な物質が入っているとも限らないのだから。
開かない小箱。
それを前にして、そこにいる、隊員や軍関係者。
全員が首を捻り唸っているその最中。
「どうかしたんですか?」
ドアの入り口から、ちょうど、ミリーとミメットが。
この部屋の入り口にまでたどり着く。
「ああ、ちょっとね。この小箱が空かないから。」
そういいつつ、ちょこんと置かれた小さな箱を目で指す一人。
「・・・開かないんですか?」
そういいつつ、その箱を手に取り。
開けようとするミメット。
だが箱はびくりとも動かない。
「・・・・本当だ。」
「・・・・みせて?」
ミリーに言われて、その箱をミリーに手渡す。
「・・・・・きゃ!」
ポン!
ぱぁぁぁぁぁぁぁぁ!
シュン!
しゅぱぁぁぁぁぁ!
ミリーがその小箱を手にとり、そっとふたに手をのせた瞬間に。
軽やかにポンとなる音と。
それと同時にどんな手段を用いても、開かなかっ蓋が、何もしないのに勝手に開き。
その箱の中から、虹色の光や、まるで磁場が狂ったときに発生する、オーロラの光が出現し、船の中を満たしてゆく。
「な・・何何々!?」
手にもっている箱から、溢れる光。
まるで、光の花火のように、箱から光がしばらく漏れてゆく。
それはほぼ数秒の出来事。
しばらくすると。
「・・・あ、収まった。」
そういいつつ、箱を除く。
「・・・・・・・・・・・・何もはいってませんよ?」
「・・・・・・何かしたのか?」
どんな手段を用いても、開かなかった箱。
それがミリーが手にしただけで、開いたことにより不審に思い、問いかけるが。
ふるふるふる。
首を横にふるミリー。
事実、ミリーは何もしていない。
ミリーが差し出した箱の中には。
そこには・・・ただの、箱の底があるだけであった。
「・・・もしかして、この箱、遺伝子情報が鍵となっていたとか。」
ふと、思いついたように言っている隊員の言葉に。
「・・・・一理あるな。似通った遺伝子に反応・・ということも考えられる。」
だが、何も入っていないとは、どういうわけか。
疑問におもいつつも、ミリーから箱を受け取る。
「とりあえず、君たちは、事情聴取が終わった後。引き続き、試験を続行してもらおう。― 依存はないかね?」
『ありません!』
彼女達は、まだ試験の途中。
はっきりいって、ただの素人。
今から連邦に就職する隊員の卵の駆け出し。
疑問に思うが、上の一人から。
【絶対にこの二人には試験を続行して受けさせろ。】
そう命令が下っている以上。
試験の途中の彼女達を余り引き止めるわけにもいかない。
とりあえず、簡単な事情聴取のあと。
ミリーとミメットは。
開放され、試験の続きにと戻ってゆくのは……数時間後のことであった。
「・・・・・・・・・で?」
船の中、ミメットとミリー、二人っきりになり。
隊員たちと別れ、再びパトロールの模擬試験を始めるミリー達。
船に戻り、銀河連邦所属の船が全て見えなくなるころに。
ふと、ミリーが誰かに話しかけるようにつぶやく。
「?ミリー?」
いきなり、何かを言い出すミリーに少し首をかしげるミメット。
と。
ポウ。
ミリーの左肩の後ろから。
何か、小さな虹色の光がふわりと浮かんで、ミリーの目の前にと停止する。
「・・・・何で、あんな箱の中にいたの?ファー?・・・最近、姿を見せないと思ったら・・・。」
そういいつつ、その光にと手を伸ばす。
と。
ふわり。
「・・・・・え!?妖精!?」
その光が収縮し、そこに、不可思議な虹色のような羽を四枚はやしている女の子がいるとなると・・さすがに驚くミメット。
「・・・ちょっと、どじっちゃいまして。てへv」
そういいつつ、ぺろりと小さな舌を出すその小さな人間の姿をしているその物体。
そして、ふと、ミメットの方に視線を向けて。
「あの?フィラ様?こちらの人は?」
初めてみる顔である。
首をかしげてミリーに聞く。
「ああ、ミメットよ。今回の試験でチームを組んだの。あ、ミメット。
とりあえず、何であんな中にいたのか、分からないんだけど・・・。紹介しとくわ。この子、ファー。」
そういいつつ、ごそごそと。
しゃらり。
首にかけているネックレスを取り出すミリー。
その中心には、不可思議な色彩の黒いような不思議な石がはめられている。
「私が赤ん坊のときから唯一持ってる、この石の、どうやら精霊らしいのよ。」
そういいつつ、石をかざすと。
その石が不思議な色彩にと煌き輝く。
「・・赤ん坊のときから?」
とりあえず、突っ込みたいところも多々とあるが。
一番重要なのはそこのような気がして、問いかける。
「ええ。私、捨て子なのよ。
赤ん坊のとき、ノクターン家の門の前に捨てられてたの。この石だけを持ってね。」
そういいつつも、石を胸にとしまいこむ。
捨て子。
この広い宇宙、よくそういうことはある。
だが、それは。
きちんと、出生管理が行き届いている星などでは。
まず捨てられても、すぐに身元が判明する。
その遺伝子から、何処の星で生まれたとかも連邦に所属している、惑星というか銀河ならば、まず分かる。
「捜しても、両親や生まれた場所など不明だったらしく。私、ノクターン家に養女として引き取られたの。」
けろりと何でもないように行っているミリーの言葉に。
「・・・・苦労したんだ・・。・・・まさか、試験を受けたの・・本当の両親捜すため?」
ふと、ミリーがこの試験を受けたのは。
その本当の両親を捜すためではないかと思い立つミメット。
「まっさか。違うわよ。私の両親は、ノクターンのマリアとリュク。この二人以外にはいないわよ。」
・・それに。
何となくだけど・・・・私には、そんな『両親』・・・って。
絶対にいないと思うのよね・・・・。
何となくそれは絶対だって分かるし。
などと、心で思った言葉は口には出さずに。
そんなミリーの言葉に。
「あれ?でも、だったら、そのファーさんに聞けば。本当の両親分かるんじゃない?」
ふと、ちょこんと。
ミリーの肩に乗っているファーをみていうミメット。
捨てられていた当時から持っているというのであれば。
当然、赤ん坊であるミリーに手渡したのは、その両親のはず。
そう思い。
普通ならばそうであるはず。
・・・・・普通なら。
「申し訳ありませんがそれにはお答えできません。
私は、ともかく、フィラ様をお守り、見守ることを第一の使命としてますので。」
そういい、にっこりと微笑むファー。
大きさ的には、手のひらより3周りほど小さい姿。
淡い虹色ような不可思議な光の球が彼女の姿を覆っている。
答えられるはずがない。
ミリー・・ミリアムには、両親というものは、存在しないのだから。
「ほらね。ずっと昔からこの調子なのよ。」
そういって、手をひらひらさせているミリー。
「・・・あれ?でも今まではいなかったわよね?その子?」
ふと、今初めてみたような気がするが。
などと思いつつ。
「それなんだけど。ほら、先刻の、あれ。私が箱を持ったら光が飛びだしたでしょ?
あの光のどさくさにまぎれて出てきたのよ。このファー。」
あっさりと何でもないようにと言い放つ。
光と共に、ファーが出てきたときには少し驚いた。
だが、ファーの姿は自分にしか見えてないというのが、これまでの経験から見えているがゆえに。
あえて黙っていたミリー。
そのまま、光にまぎれて、ミリーの胸の中の石にと戻ったファーは。
少しの休息の後に、ずっと、ミリーの左肩の上で、ミリーの側にいたのである。
そんなミリーの言葉の後に。
「ええ。まさか、水浴びしてるときに、あの生き物にみつかっちゃいまして・・。
あわてて、箱に入って、隠れたんですけど・・。
ちなみに、私が箱の中から、誰も空けられないようにしていたんです。
フィラ様が手に持たれたので、それを解除しましたが。」
にこにこと、そう言ってくる。
光を散乱させたのは、目をくらませるため。
いくら、自分のことが見えないと分かっていても。
やはり、保険は大切。
その気配とかに敏感な存在などもいるのだ。
まあ、彼女・・ファーの気配を捉えるほどの、実力の持ち主はそうはいないが。
そんなファーの言葉に。
ポン。
小さく手を打ち。
「そっか。だから、内側から鍵をかけてたから。誰もあの箱を開けられなかったんだ!」
一人納得しているミメットの姿が。
船のコックピットの内部で見られていた。
それですんなり納得する、というのはこのミメット。
トゥラ星においてもまた、精霊などといった存在は日常的に存在しているがゆえに……
― 船体番号、1692合格。
少しのハプニングはあったものの。
ものの見事に。
ミリーとミメット、二人のコンビは、試験に合格を果たしていた。
「やったぁぁぁ!」
「きゃぁ!これから、本格的に就職よ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる二人。
・・・・今回の試験で合格したのは。
彼女達のほかに・・・・たったの二組しか存在していなかった。
最終試験は常識問題と適性検査。
それらが終われば。
正式に銀河連邦機関に採用される ―。
−続くー
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あとがきもどき:
薫:・・・・はいv
ということで箱の中みはvファーでしたv
正式のファミリーネームを。フェアリー。
ミリアムが常に身に着けている不思議な石の精霊ですv
・・・・ま、スレイヤーズの小説、私がかいているパロを読んだこと、ある人なら・・・・すでにバレバレですけどね(爆!)
んではではvまたvv