まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら
とりあえず。
いろいろと素材サイトさんをみていたら。
何ともしっくりくるサイトさん発見v
自分でもってるイメージにかなり近くてけっこううれしいですv
あとは月のイメージどおりなサイトさんが発見できたらいうことなし(しみじみ
ともあれ、いくのですv
今回のこれは、ネオ・アンジェリークよりv
んではではv

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アルカディア・サイドストーリー

「どうやらそろそろみたいね。」
くすっ。
周りにまるで数え切れないほどの銀河系のようなものが浮んでいる、とある空間。
そこには彼女一人しか存在していない。
身長よりも長い金色の髪。
そしてまた、見上げる瞳の色もまた金色。
そんなことをいいながら、くすりと微笑むその姿は、まるで強いていうならば女神さながら。
現在、過去、未来。
それら全ては彼女にとっては一瞬の出来事であり、そしてまた……
「さってと。」
時はすでに満ちた。
ティエン・シーはそうとは知らないまでも、それらはすべて定めどおり。
かの地に、あの宇宙の意思ともいえる存在が封印され、あれが守ったのも…また、定め。
その定めとは様々な事柄から自らが決めた…決定事項。
様々な運命は、その時々の人々の手により正確な時の流れを作り出す。
誤り、破滅に向いてゆくときの流れは訂正をしているが……
そんなことを思いつつも、すっと頭上にと視線をむける。
それと同時に、それまで周囲に浮んでいた景色という景色が一瞬にと深遠の闇にと変わり、
そしてまた。
それを見とどけた彼女の姿もまた…その場から瞬時にしてかききえてゆく。
あとには、ただ金色の残像の残る白い羽が舞い散るのみ………




「あの?陛下?重要な話があるって…一体?」
先日、星の間にて
『重要な話があるから、そちらの守護聖たち全員と共にアルカディアにきたれり。』
そういわれて執務時間を調整してやってきているここ、アルカディアの地。
かつてこの地は、自分の納めている宇宙の未来からこの時代にやってきて、
そしてまた、未来の宇宙の意思たるアルフォンシアが封じられていた場所。
思い出深い地ではあるが、それゆえに感慨もひとしお。
「?陛下?いったい何が……」
にっこり。
問いかけてくる茶色い髪の神獣の宇宙の女王。
そしてまた、頭にターバンを巻いている一人の男性の言葉ににっこりと微笑む金色の髪の少女。
少女…といっても過言でないであろう。
この場にいる女性は五人。
それぞれどうみても歳のころは十八かそこらのまだ若い女性。
「神獣の宇宙の女王とその守護聖。
  そして我らが神鳥の宇宙の守護聖全員をこの地に集めるとは、何かがあったのですか?」
いきなり守護聖全員、この地に集まるようにといわれたのはつい先日。
そして女王にいわれたがゆえに来て見れば、いるのは自分達だけではなく、
ついこの間誕生したばかりの新たな宇宙の守護聖たちも一緒とは……
聖地。
と彼らが住んでいる場所はそう呼ばれている。
外界…つまりは、本来ある様々な星々とはまったく違う時間率で存在している空間。
そしてまた……
宇宙を統べ、安定させ導く存在ともいえる『女王』と呼ばれている存在が暮らしている場所。
「まったく。俺までに用事…とは何なんだ?いったい……」
おもいっきり不本意だ。
というように何やらそんなその場にいる金色の髪の少女にといっているのは銀色の髪の男性。
その左右に違う瞳の色が印象深い。
「というか。アリオスさん。それより、よくアリオスさんも来ましたよね。
  いつもなら女王陛下にとって重要な何かがなければ来ないのに。」
そんな彼に思わず突っ込みをいれているのは長い髪を二つにみつあみにしている少女。
「あのな。エンジュ……ばっくれようとしたんだけど、あ…もとい。
  そっちの神鳥の女王にいきなりここに移動させられたんだよ。
  まったく。いっつも唐突なんだから……」
思わず姉上、といいかけて言いなおす。
自分が実は彼女の…神鳥の宇宙の女王をやっている彼女の…
アンジェリーク=リモージュの…否。
『アンジェリーク=ユニバース』の実の弟だ。
というのは彼女たちやこの場にいるほとんどのものには知られていない。
また…知られてもならない。
というのは十二分に承知している。
もっとも…役一名。
そのことに気づいている存在もいるにはいるが。
その者はむやみやたらに誰にでもそんなことは話さない。
すべては…宇宙空間、といわずこの理にてなりたっている空間の創世記における真実。
「いきなり『ここに移動させられた。』……って……」
思わず驚愕の声がもれてしまうのは仕方のないことなのかもしれない。
自分が守護聖。
と呼ばれる存在になってまだ数ヶ月も経過していない。
宇宙の安定と発展を担う、そしてまた最も神聖な力を宿した存在になった。
それはほんのつい先日のこと。
だがしかし…自分が生活していた星は、その自分にとっては短い間に、
知っているものたちもまた今や…すでに歳を取っている。
「そういえば。先日、サラお姉ちゃんからお手紙がとどきましたけど。
  何でも水竜族と火竜族の一部のものがここ、アルカディアに移住したとか…何とか。」
手紙にはこうもかかれていた。
女王の意思と願いによって…と。
そして、その任務を未来を導くべく自分のおいにあたる『ファルウ』が担いこの地にきた…ということも。
まだ幼かった彼が成長しているのに自分は当時のまま。
というのに、守護聖になった自分と外界との時間を感じざるを得ないが。
それは選ばれた自分が担うべき枷ともいえるもの。
「アルカディアかぁ。ここもずいぶんとかわったよね。」
この地にくれば懐かしさもあることながら。
さらには外界との時間の格差を一段と感じざるをえない。
そんなことをいいつつも、
高台の上から下を見下ろしていっているのは金色の髪のまだ幼さの残る男の子。
今、この町並みが見下ろせる高台にとやってきているのは、女の子三人を含む、計二十二人。
みな一様に、ぱっとみただけで思わず目を見張るような雰囲気の持ち主であるにも関わらず、
この地の人々に気づかれていないのは…今が夜だからなのか、はたまた何かの力が働いているのか。
それは彼らには判らない。
事実は、神鳥の女王と呼ばれた女性がこの場所に特殊な結界を張っているからに他ならないのだが。
「みんなに集まってもらったのは他でもないわ。時が満ちたから。あってほしい存在がいるの♡」
にっこりとそういわれて思わずそういった金色の髪の女性以外の全員が思わず顔を見渡す。
そして。
『あってほしい存在?』
思わず異口同音でそれぞれが語りかけるのは…仕方のないことであろう。
「……ふぅ。唐突なのは変わりがない……か。それで?この俺にも関係あることなのか?」
逆らっても無駄。
というか言っても無駄。
それは長い付き合いであるがゆえに判っている。
一人ため息まじりにいう、先ほどアリオス、と呼ばれた男性の言葉をうけ。
「もっちろん♡皆にも関係あるし。それにこれからのこの地の未来にも関係することよ♡」
「陛下。そろそろわたくしにも教えてくださってもいいのではないですか?
  銀の大樹がどうの……とかおっしゃってはいましたが。」
とてもすばらしいことがあるの。
そういって、口元に手をあててにっこりと微笑まれ、話をはぐらかされていたがゆえに、
何があるのか詳しくは聞いてはいない。
傍らにいるこの中で一番落ち着いた雰囲気のある女性の言葉に三度微笑み、
「アンジェリークには何となく感じているものがあるんじゃないかしら?
  今、このアルカディアのある小宇宙に何がおこっているのか♡」
傍らにいる茶色い髪の女性にと話しかける金色の髪の女性。
その言葉に少し戸惑いながらも。
「もしかして…陛下?この宇宙で観測されている未知のエネルギーのことですか?」
そのことに思い当たり、問いかけられたのとは別の女性。
もう一人の金色の髪の女性が語りかける。
「さすがね。レイチェル。そう。そのエネルギーが何なのか。まだわかってないんでしょ?」
くすっ。
神獣の宇宙の女王であるアンジェリーク=コレット。
それが茶色い髪の女性の名前。
そしてまた、今問いかけてきた女性は神獣の宇宙における女王補佐官。
レイチェル=ハート。
彼女たちはそれぞれ、まだ若い新しい宇宙を統べる存在の要。
つい先日、ようやく女王を助ける力をもつ守護聖なる存在がそろったばかりであり、
ますます発展を遂げている神獣の宇宙。
発展してゆく宇宙の様子に追われ、こちらの世界…即ち。
狭間の空間から小宇宙にと安定したこの地のことにまで手がまわっていない。
というのが今の彼女たちの実状。
「私が眠りについている間。この地から何か不思議な力を感じましたけど……
  それに関係があるのですか?」
まだまだ自分は未熟。
そんなことを思いつつ、問いかける神獣の宇宙の女王、アンジェリーク=コレット。
そんなコレットの言葉をうけて。
「まだそこまで詳しくはわからなかったみたいね。そのとおりよ。アンジェリーク。
  というか。守護聖達もこういったケースは始めてでしょうしね。
  一応説明しておくわね♡この地…即ち。この小宇宙の宇宙意思が力をもったのよ♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?』
一人軽く小さく苦笑まじりの笑みを漏らしている長い黒髪の男性以外の全員の声が一致する。
「だ・か・ら♡この小宇宙における宇宙意思。すなわち。
  私達のほうからいえば、神鳥や神獣とよばれている彼ら。
  あれと同じ存在が力をもってこの宇宙を統べるだけの力を得た。といってるのよ♡」
にこやかに、さらりと何やら重大なことを言い切るそんな彼女の言葉に、
「…陛下?…あの?それは……」
この地はもともと、狭間の空間であった。
それがなぜか小宇宙として安定した。
というのは自分達はその瞬間に立ち会ったので理解はしている。
そして、この小宇宙は元々新宇宙の女王が納めている宇宙の未来のもの。
という理由から、新宇宙の女王であるアンジェリーク=コレットが管理している。
ということも……
「?どういうこった?」
「…もしや、陛下!?」
首をかしげる何やら多少野性味かかった男性の言葉とは対照的に、
眼鏡を押し上げつつも驚きの声を発している男性の姿が。
「そうね。新たに守護聖になった、そちらの神獣の宇宙の光の守護聖。
  それに水の守護聖や闇や風の守護聖たちにはわかりにくいかもね。
  多分、話にはきいてるとはおもうけど。
  この地、アルカディアはかつてアンジェリークの納めている宇宙からさらなる未来。
  ティエン・シーという女王が納めている時代から、この時代に時空移動してきたもの。
  鋼の守護聖エルンスト、夢の守護聖メル、緑の守護聖セイラン。
  そして地の守護聖ヴィクトールに炎の守護聖チャールズ。
  彼ら五人は当時その事柄を経験してるけど。
  この地は、狭間の空間。と呼ばれているどの宇宙空間でもない場所にと存在して。
  そして、アンジェリークの手によって、
  未来の封印されていた神獣の宇宙の宇宙意思たるアルフォンシア。
  彼が解き放たれて未来もこの地も救われたんだけど……
  つい先日あったジェムの一件。それらもすべてはこのことにつながっていたのよ。」
そう。
すべてはつながっている。
過去、現在、未来にわたる出来事のすべては……
時の流れとは川の流れのようなもの。
ゆるやかに、それでいてよどみがない。
時々荒れることはあったとしても、それはまた緩やかな流れにまた戻る。
「まあ、詳しい話はおいおいするとして。とりあえず時が満ちたのよ。
  どうしてこの大陸のある空間が小宇宙として安定したのか。
  それもそこに原因があるんだけどね♡」
そう説明する彼女の言葉に、
「ってどういういみなんだよ?」
いきなり全員アルカディアに集合してね♡
といわれてさぼろうとしたものの、強制的につれてこられたのもまた事実。
それゆえに多少不機嫌になりながらも問いかけている白い髪の少年。
「あ~。陛下。それはつまり。この小宇宙にも我々の宇宙や神獣の宇宙と同様。
  宇宙意思とよべる存在が誕生した…そう言う意味ですかねぇ?」
もしそうならば、そういう存在がいたのならばこの地が小宇宙として安定したのもうなづける。
それから後の出来事に、そのような存在が欠片すら感じられなかったのはともかくとして。
「ルヴァ。そのとおりよ♡正確にいうならば。すでに存在はしていたんだけどね。
  だからこそ、未来のアルフォー…もとい、アルフォンシアも無事だったんだし。
  あれは、アンジェリーク。あなたの祈りによって時を得て誕生した存在だからね。
  ま、説明するより直接にあってみるのが手っ取り早いからね。
  それに…ふふ。みんなに協力してほしいことがあるの♡」
……協力?
その言葉に思わずそれぞれ全員顔を見合わせる。
今この場にいるのは、神鳥の宇宙と呼ばれている場所の守護聖九人と、
その宇宙の女王と女王補佐官。
そしてまた、まだ産まれてまもない宇宙。
新宇宙ともいわれる神獣の宇宙と呼ばれているこの前そろったばかりの九人の守護聖たちと、
その女王と女王補佐官。
そしてまた、宇宙創世記に必要とされる聖天使と呼ばれる存在と、そしてまた……
実は神鳥の宇宙の女王とはかなりのつながりをもっている男性が一人。
彼はかつて、神鳥の宇宙に侵略者としてやってきた経験があるものの。
だがそれは……彼の愛するものの復活と、そして彼の生まれ育った宇宙に対する復讐がゆえ。
……何かまたたくらんでるな。
そんな自分達の女王の言葉と態度をみてそんなことをふと思うが。
「陛下。それでその…その、この地、いや。この小宇宙の宇宙意思とは…一体?」
もし、そのような存在が誕生したのであれば、かつての神獣の宇宙と同じように。
再び女王試験を行うのだろうか。
そんなことを思いつつ、問いかけている赤い髪の男性。
「とりあえず。かの元に移動するわね。」
いうなり、ふわっと神鳥の宇宙の女王と呼ばれていた女性の背より淡く金色に光る白い羽が出現し。
それらはやさしくその場にいる全員を包み込む。
そして。
そのまま。
シュ…ン……
一瞬のうちに、その場より彼ら全員の姿はその場より消え去ってゆく。
あとには…ただ、幻想のような幻のような淡く白い羽が周囲に舞い散るのみ………




「エヴィル。皆をつれてきたわよ♡」
『……ここは……』
この地は誰でも知っている。
いや、忘れようにも忘れられない場所。
この地、アルカディアにきたときはいつもこの地によっているのだからして。
目の前にあるそれにむかってにこやかに語りかけているのは、
神鳥の宇宙の女王たる【アンジェリーク=リモージュ】。
目の前には雄大なまでに葉を茂らせている銀色の大樹。
銀の大樹。
それは神鳥の守護聖や、そしてまた神獣の宇宙の女王たちにとっても思いで深い場所。
かつて、この大樹に未来における神鳥の宇宙の宇宙意思たる存在が封じられていた。
正確にいうならば、負の存在に封じられたそれを大樹が守っていたのであるが。
この地を幸福に満たし、その封印を解き放ったのはそう前のことではない。
ほんの…そう、彼らにとってはほんの数ヶ月もたたない前のこと。
一部のものは意味がわからずに首をかしげているものの、だがしかし。
「いつみても。すごい綺麗な木ですね。」
「ですね。」
「確か、話によれば前この木に未来の聖獣が封じられてたとかいってたな。」
などと口々にいっているのは、神獣の宇宙の守護聖である、
闇の守護聖フランシス。
そしてまた、風の守護聖ユーイと光の守護聖レオナードの三人。
「あの元エルダさんとか呼ばれてた聖獣のアルフォンシアさんですよね?」
何やらいいつつも、横にいるコレットに問いかけているのは。
新宇宙を救うべくえらばれた今では聖天使と呼ばれている存在。
名前をエンジュというのだが。
新たな宇宙が創生の危機を迎えるときに現れるという伝説のエトワール。
使命を成し遂げたエトワールは聖天使と呼ばれる存在になるであろう。
その言葉通り、彼女は今、聖天使として聖獣の宇宙にて宇宙の発展を手伝っている。
「つ~か。神獣の宇宙の宇宙意思は人の姿になってるのに。
  こっちの神鳥の宇宙の宇宙意思たる神鳥は人の姿になんねえのか?」
素朴な疑問を投げかけてくる鋼の守護聖ゼフェルの言葉に。
「なってほしいの?ならそういうけど?」
「さらっというな。さらっと。まったく……」
にこやかに答える神鳥の女王アンジェリーク=リモージュの台詞に思わず突っ込みをいれていたりする。
そんな会話をしている最中。
ポウッ……
彼らの目の前にとそびえている銀色の大樹がほのかに銀色の光を帯びて光り、
そして、その光は一点に収縮してゆき、次の瞬間。
光が収まると同時、
『か…かわいいっ!!』
その場にいた女性陣。
そしてまた、歳若い少年たちの声が思わず一致する。
光が収縮した後に出現したのは、長い毛並みの、一見したところペルシャの種類に近いような、
長い毛並みのしかも、その毛並みが銀色のネコが一匹。
「紹介するわね。ここ、小宇宙の宇宙意思たる存在。
  正確にいえば、この銀の大樹の精霊がこの小宇宙の意思として核となったんだけど。
  エヴィリールよ。通称エヴィル♡」
その場にいる全員がそこに出現した銀色の毛並みを持つネコに驚いている最中、
一人にこやかに、その場にいる全員に説明しているリモージュ。
「…ネコ…ですよね?陛下?」
驚愕しつつも、何とか冷静になりつつも問いかけているのは……
「みてわからない?ジュリアス?そのとおりよ♡エヴィル。皆をつれてきたわよ♡」
そんな問いかけてきた神鳥の宇宙の光の守護聖ジュリアスの言葉ににこやかに微笑み、
目の前にいるネコにと話しかけるリモージュ。
その言葉をうけ、
『お初にお目にかかります。今コス…もとい、神鳥の女王陛下からご紹介にあがりました。
  この銀の大樹の精霊であり、この小宇宙の宇宙意思でもあるエヴィリールと申します。
  以後皆様にはお見知りおきのほどをよろしくおねがいいたします。
  …もっとも、私にとってはあなた方とは久しぶり…といった感じなのですけど……』
ぺこり、とちょこんと座ったままで頭を下げて言葉を発してくる銀色のネコの姿が。
「きゃ~!!かわいい!」
「ネコちゃんだ~!!」
何やら一部のものはかなりその姿を目にして舞い上がっていたりするが。
「これは驚いたな。」
「普通の大樹でない。というのは判ってはいましたが…よもや……」
「あ~。なるほど。だからこの地が小宇宙として安定したんですねぇ。なるほどなるほど。」
対照的に、そんなことをいっているのは、神獣の宇宙の地の守護聖たるヴィクトールと。
そしてまた、鋼の守護聖エルンスト。
そして、一人しみじみとつぶやいている神鳥の宇宙の地の守護聖ルヴァ。
「で?俺たちにこれを紹介するためにわざわざ全員あつめたんじゃないんだろ?」
ため息とともに、あまり動じることもなく問いかけてくる左右の瞳の色が異なる男性。
「さすがわかってるわね。エ…もとい、アリオス。皆に集まってもらったのは他でもないわ。
  この地の新たな女王誕生にむけていろいろと準備をしておきたいことがあるの。
  皆も知っているとおり。この地は未来の神獣の宇宙よりやってきた大陸。
  それゆえに、アンジェリークの…神獣の宇宙の管理下としてたんだけど。
  ようやくこのエヴィルの力もある程度満ちてきたこともあって。
  そろそろこの小宇宙がこの卵の状態から孵化するときが近づいているのよ。」
にっこりと説明するリモージュの言葉に。
「つまり…陛下。この地もかつての神獣の宇宙のように卵から孵化する…という意味合いですの?
  でも、この地はすでに小宇宙としては存在していますけど。」
ここにくるまで、秘密といわれて詳しいことは聞いてはいない。
それゆえに、首をかしげながら問いかけているのは、
リモージュの補佐官でもある【ロザリア=デ=カタルヘナ】。
おそらく、この今いるメンバーの中の女性の中で一番落ち着いた雰囲気をもっている女性であろう。
「近いものがあるわね。ロザリアや皆も知っているとおり。
  あのとき…かつての【ラ・ガ】の一件でこの地がこのように小宇宙として安定し、
  そして今に至っている。というのは周知の通りでしょうけど。
  でもまだ、この地には他に生命がすめる惑星などは存在していないのよ。
  そう。初期の聖獣の宇宙が孵化したそのときの状態と同じなのよ。」
この浮遊大陸のある小宇宙空間においては、まだ生命が存在できる惑星は存在していない。
かつて、今では新宇宙の…神獣の宇宙の女王とその補佐官として存在している、
アンジェリーク=コレットとレイチェル=ハート。
この二人が宇宙を育て惑星を育成し発展させていったのはほんの少し前のこと。
「え?ってことはもしかして陛下?また女王試験をやるんですか?」
今の話の流れからすれば、またこの地で試験をやるような……
そんなことを思いつつ、といかけてくる風の守護聖ランディの言葉に、
「少し違うわね。まだこの地には女王の素質をもっている子が誕生してないからね。
  それに。皆も知っているとおり、この地は本来。未来の神獣の宇宙の大陸。
  過去と未来。そして現在。すべてが交わるこの場には、様々な負の残留思念もまた残ってるのよ。
  今は、この前のアンジェリークの働きによって一時的にアルフォンシアの手により封じられてるけど。
  その負の力の影響で、エヴィルも完全にまだ力は発揮できないんだけど……」
いいつつも、そこにいるいつのまにかコレットに抱っこされているネコをみて言っているリモージュ。
今詳しく説明してもいいが、だがそれでは皆に不安を与えるようなもの。
それゆえに、言葉を選びつつ説明しているリモージュ。
「そうね。強いていえば、ソリテアみたいなものかしらね?」
「って、なぜ陛下がそのことを?」
ソリテア・デ・レペスペレ。
それはリモージュが即位する前に起こった聖地での一種の負の騒動。
「え?あ。気にしない、気にしない。あのときはカティスが残したワインによってあれは解決したでしょ?」
「気にしない。って…普通するとおもうんですけど……」
そんなリモージュの台詞に思わず突っ込みをいれているのは、緑の守護聖マルセル。
「なぜ陛下があのことを?」
「もしかしたら、神鳥から何か聞いているのかもしれませんね。」
疑問がる光の守護聖ジュリアスに対して、その横にて何やらいっているのは炎の守護聖オスカー。
その憶測はまったくハズレではあるにしろ、それには答えずに、にこやかに。
「ま、ともかく。まだこの地に女王になるべく存在は誕生してないにしろ。
  すでに、このように生命があふれてる大陸が存在している以上。
  かつての、というか神獣の宇宙のようにはいかないわ。
  下手をすればここの大陸そのものまで消滅してしまいかねないしね。
  みんなも、先のエトワールの一件でよくわかったでしょうけど。
  補佐する存在がいない、というだけで宇宙の崩壊につながるのよ。
  ここは、まだ私やアンジェリークの力が働いているからそれは免れているけど。
  いずれこの地は、このエヴィルの意思と選ばれた女王によって統治されるべき場所。
  そのときのために皆に協力してもらいたいことがあるのよ♡」
この場にいるほとんどの存在が意味がわからずに首をかしげている最中。
有無を言わさずに話しをすすめていくリモージュ。
あまり詳しくは話せない。
かといって、話さないわけにはいかない。
その加減を見極めつつ、完結にと説明する。
「それで?陛下。私達は何をしたらいいの?わざわざ全員。
  神獣の宇宙の女王と補佐官。それにあちらの守護聖たちに聖天使にアリオス。
  それに、こっちの私達全員…即ち守護聖全員までこの地に呼び寄せて?
  何かとても重要なことなんでしょ?」
腕組みをしつつ、問いかけてくる夢の守護聖オリヴィエの台詞に、
「まあまあ。オリヴィエ。あせらないで。まずは、エヴィルから簡単な説明があるから♡
  というわけで、エヴィル。皆に説明してくれるわよね♡」
いって、にこやかにそこにいる銀色の毛並みを持つネコにと話しかけるリモージュ。
そんなリモージュの声をうけ、
『は…はい。それでは皆様がたに説明させていただきます。実は……』
少し遠慮がちに、ネコのエヴィルが説明を開始する。
といっても、ちょこんと大地にお座りした状態で、小さな手を動かしつつの説明なので、
何ともほのぼのしているのだが。

エヴィルことエヴィリールの説明はその場にいる人々を驚かせるのには十分すぎる内容。
彼は緑、風、水…そして地。
それらのサクリアによって誕生した生命というのは神鳥の宇宙の人々は周知の事実。
そしてまた、神獣の宇宙の女王とその補佐官の。
神獣の宇宙のときには、その力を託すべく存在がいなかったがゆえに、
存在している精霊がそれぞれの九つのサクリアを初めに保有し守っていた。
だが、このアルカディアのある小宇宙においてはすでに、ここアルカディアがある。
それ即ち、初めから力を託すべき存在などがいる…ということ。
先日問題になった『サクリアを秘めたジェム』。
硬度はルビーの十倍ともいわれ、希少価値がとてもたかく綺麗な宝石。
それらが人の思いに反応し、サクリアを開放し様々な事件を起こしたのもまた記憶に新しい。
最も、それは神鳥の宇宙の存在や、神獣の宇宙の存在達にとってのみであり、
この地、アルカディアの時間率からすればかなり長いときが経過している。
宇宙を治める女王と、それを保護する守護聖たち。
彼らの時間は一般の人々や存在と時の流れが異なる時間に存在している。
それゆえに、彼らにとっては先日のことでも、
普通から考えればかなりの時間が経過しているこの現実。
あれは、この地。
即ち、過去というか今現在におけるこの神獣の宇宙に、未来における自分を誕生させること。
それを一つの目的として、そして……
そこまで詳しくはエヴィルは説明しないものの、だがしかし。
『サクリアのそれぞれの力を秘めた宝石を作り出し、それを守りとする。』
その言葉には全員が驚きを隠せ得ない。
かつてのサクリアを秘めた石、ジェムは強い意思により発動した。
今度はそうではなく、素質をもったものにしか扱えない特殊なもの。
外見的には普通の宝石にしかみえないもの。
それらを素質のあるものが扱ってゆくことにより、その根底にある本質。
即ち、守護聖になるべき資質を秘めた存在が早く見つかる。
というもの。
そしてまた……

「サクリアの証は、皆に協力してほしいの。つまり。
  それぞれの『護り石』というのを作り出し、それを証とする。それがエヴィルの考え。
  そして、その方法だと今後発生するであろう、負の気の撃退。
  これにも貢献することができるしね。」
エヴィルの説明がおわり、続けてにこやかに説明するリモージュの言葉に、
「あの?神鳥の宇宙の女王陛下?質問いいですか?」
戸惑いながらも問いかけるおさげ髪の少女。
そんな彼女の問いかけに反応するかのように、
「なるほど。たしかにその方法ならば儂の力がなくてもどうにかなりそうじゃな。」
なぜか、いきなり彼女の腕のプレスレットからウサギのような物体がその場に出現し、
そんなことをいっていたりする。
「サフィルークア。まあ、あなたにはまだまだ聖天使エンジュと共に頑張ってもらわないといけないからね。」
そんないきなり出現したウサギのような物体に驚くこともなく、にっこり微笑み話しかけるリモージュ。
彼こそが、石版の神器ともいわれているその精霊。
本名をサフィルークアといい、今ではタンタンと呼ばれている存在。
「タンタンは今の説明で理解してるみたいですけど……
  あの?でも今のお話だと、私も関係あるんですか?」
今の話だと、守護聖様がたの力が必要なだけ。
のような気もするんですけど……
そんなことを思いつつも、問いかけているのはかつては伝説のエトワールと呼ばれ、
そしてまた、今では聖天使と呼ばれている少女…エンジュ。
「もちろん♡エンジュ。あなたには『天使の護り石』というものを創造りだすのに協力してもらうわ。
  そして、アリオス。あなたは魔道の護り石の担当ね♡
  創造りかたは昔教えたから覚えてるわよね?」
そんなリモージュの言葉にため息をつき、
「……あれか。というかあの方法を取り入れるのか?ここに?」
「そ♡少しでも負担が減るでしょ?そのほうが♡」
「…そうか?そうとは思えないが……」
かつて、この方法は彼は『エリオス』として存在していたときに扱ったことがある。
もっとも、その事実を知っているのは、この場には彼とリモージュしかいないのだが。
他に知っている存在はといえば、石版の神器と今では呼び証されている『サフィルークア』のみ。
そんな二人の世界ともいえる会話をしているリモージュとアリオスに対し、
「?アリオス。いつそのようなものを陛下から教わったのですか?」
「……おおかた。あのときじゃない?」
そんなアリオスにと問いかける、神獣の宇宙の鋼の守護聖エルンスト。
そして、そんなエルンストとは対照的に、あっさりといっているのは、
神獣の宇宙の緑の守護聖セイラン。
あの時…というのは、アリオスが、アリオスとして。
そしてまた、レヴァイアスとしてかの地に侵攻してきたときのことを指し示しているのだが。
それには詳しくは触れずにその言葉だけですましているセイラン。
彼は以前の彼ではない。
そう。
新たなアリオスとして生まれ変わった彼であるがゆえに……
最も、幾度生まれ変わろうとも、その魂の本質は変わることがないのであるが。
「陛下。少しいいですか。そのようなものを創造りだすとして。
  その…またジェムのときみたいに問題になりませんか?」
あのとき、人の強い意思によって発動したあの力。
あの力の大きさは今でもはっきりと覚えている。
惑星一つは軽々と飲み込んでしまうほどの巨大な力。
その力を自分達は身の内にと秘めている。
その危険性と重要性。
「あら。大丈夫よ♡護り石は女王候補。すなわち女王の素質がある存在にしか扱えないから♡
  そして、それぞれの力を秘めた石の力をすべて引き出すのも、ね。
  女王とはすべての力をその身の内にと秘めているもの。それらはエヴィルが補佐するだろうしね。」
惑星ティラントで発動した水のジェムのことを思い出し、問いかけてくる風の守護聖ランディの言葉に、
にこやかに答えるリモージュ。
そして、全員を見渡し三度微笑み、
「と。いうわけで♡みんなに協力してもらうわね♡
  あ、アンジェリーク。こういう方法もあるんだ。というのついでに覚えてね♡」
はるかな未来において、その方法が伝えられ、
そして過去…つまりは時空移動してきたここ、アルカディアに通じる。
それはリモージュのみが把握している現実。
そんな神鳥の宇宙の女王の言葉に、それぞれ全員顔を見合わせる。

それが…あらたなこの地の始まりを告げる合図である。
ということは…今、このとき、誰もまだ気づいてはいない……


**************************

「ここは、陽だまり邸。かつてこの場所に天使と精霊たちが存在した場所……」
「陽だまり?どうして陽だまりっていうの?」
「さあ。でもきっと、この場所が皆の太陽のような存在になるから。じゃないかな?
  家族がまっている場所だからね。」
「ふ~ん。」
「いいかい?我々の一族はこの場所を任された。後々に重要な役目を負っているんだよ。」
「おやくめ?おやくめってなぁに?」
「さあ?この地の女王誕生に関わる重要なこと。としか……」
彼らは知らない。
かつてこの場所は、リモージュが廃墟から創造りだした。ということを。
ここにはかつて、一時ほど、神鳥の宇宙の女王や守護聖。
そして神獣の宇宙の女王たちが存在していた…ということを。
この場所は、この地において二番目に聖なる力にあふれている場所。
この地、アルカディア。
女王の加護をうけた理想郷。
だが…最近は何やら不穏な気配が漂ってきているのも又事実。
そこに光があれば闇もまた存在する。
時は……すぐそこに。
残留思念として残っていた負の力。
それが力をつけて活動し始めているその事実を…まだ、誰もこの地に住まうものたちは気づいていない……
広い、とても広い屋敷の一室において孫に話しかけている初老の老人。
「ニクス。いいか?どんなことがあっても自分に負けてはだめだぞ?」
「うん!!」
目の前にいるまだおさない孫息子。
この孫がこれから過酷な運命をたどる。
というのは、彼がまだ若いときに、神鳥の宇宙の女王となのる存在と、そしてまた。
この地の宇宙意思だというネコから聞いている。
だが…それは、今彼に語るべきことではない。
自分にできるのは……これからの人生において孫の道しるべを残すことのみ……
きっと仲間になってくれる大切な存在が孫を救ってくれる。
そう…その言葉を信じつつ……


                  ―――END―――


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あとがきもどき:
  薫:さてさて。みなさんはすでにお分かりになってるでしょう(まて
     はい。この『エヴィリール』、ネオ・アンジェリークの世界の『エルヴィン』です♡
     自分の本体は銀の大樹だ、といってますしね~。
     しかも宇宙意思、といってる。ということは。おそらく大樹の精霊が核となり、
     あの地は安定したんだろうなぁ…とかいろいろと妄想しております(笑
     妄想というかそれが真実なんでしょうけどねv
     さて。最後にちらっとだしたのは。はい。もうお分かりですね(まて
     あのニクスの子供時代ですvこのときまだ三歳vv
     ちなみに、余談ではあますが。教団を創生したのは聖獣の宇宙の守護聖と、
     そしてまた一部の王立研究員の人たちだったりする裏設定となっています。
     誰が指揮をとったかは…お分かりですよね(笑
     はい。エルンストとロキシーだったりするのです(まて
     ちなみに、サラとパスパの子供のファルウも貢献してますvv
     とりあえず、意味のなっていない。護り石の誕生秘話もどきをお送りしましたv
     次回の読みきりは…陽だまりの休日かな?
     何はともあれ、それではまた~♡

   2006年10月20日某日


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